ブランディングデザインをめぐる冒険
どんな家に住みたいですか?
どんな洋服を着たいですか?
デートはどんなお店に行きたいですか?
あなたが普段使っている携帯電話や手帳はどんなものですか?
靴やバッグは?
下着はどんな素材?
人が商品を買う時、選ぶ時、まずは機能性(性能の良さ)を重視すると言われています。
そして次に、手頃な価格であること。
そしてデザインや素材、形などが判断基準となります。
現代は、技術のデジタル化によって性能の同質化が進み、企業間での差異が出しにくくなっているため、性能が良いのは当たり前で、機能やスペックでは商品が選ばれなくなったと言われています。
それにくわえて、今は私たちの身の回りには、モノがあふれています。
たいてのものは手に入りますし、たくさんの種類の中から選択することができる”選べる豊かさ”の時代となり、モノを所有することより、そのモノを使うことでどんな体験ができるのかという「モノからコト」への考え方にシフトしてきています。
残念ですが「いいものをつくれば売れる」という神話は崩れつつあるのかもしれません。
「かっこいい」「かわいい」「おしゃれ」など、今まで付加価値とされてきたビジュアルやイメージといったものが、今の時代、本質的な価値となりつつあります。
そこで、他社との明確な差別化、独自性のある付加価値の高い製品開発を重要な経営戦略として取り組む企業が増え、「ブランディングデザイン」という視点が極めて重視されるようになってきました。
今の時代、売れるものを考えた時「ブランディングデザイン」抜きには語れないといえます。
私は、アートディレクターという仕事をしています。
そして小さなデザイン会社の経営者でもあります。
デザインの力を使ってブランドの力を引き出し、「売れる」商品をつくる、
商品やその会社の「メッセージ」や「思い」を「カタチ」にして伝えていく、
そしてその会社の「ファンをつくる」
これが私の仕事です。
私の会社Imaginarium(イマジナリウム)は、「小さな会社のクリエイティブ・ディレクター」をいうコンセプトを掲げて仕事をしています。
そのため、小さな会社やお店のオーナー、個人事業主など経営トップの方と直接仕事をすることがとても多いのですが、そうした経営者の方々と一緒に仕事をして感じることは、どの人も本当に素晴らしい「思い」を持って仕事をしているということです。
「世界から貧しい子供を減らしたい」
「自分らしく輝いて生きる女性を増やしたい」
「人々の暮らしを少しでも豊かにしたい」
私が出会った経営者たちは、例外なくこうした「思い」や「ビジョン」「使命」のもとに企業活動をしている人たちで、自らの商品やサービスに対してあふれんばかりの愛情を抱いていました。
彼らから商品やサービスに対するこれでもかという深い愛をアツく語られる度に、
「こんなに愛しているのだから、きっと素晴らしい商品に違いない」
と、いつの間にか私の中にもその商品やサービスに対する愛着が湧いてきて、気づいた時にはすっかりファンになっていたりします。
そして、彼らの思いに心を動かされて、「この人のためによいものをつくろう」と、この仕事を続けてきたように思うのです。
ただ、残念なことに、素晴らしくアツい思いがあっても、その「思い」をうまく表現したり発信できていないという印象がありました。
とても魅力的なサービスを提供しているのに、とても素敵な商品をつくっているのに、うまく伝えることができていなかったり、見せ方が残念だったり。
そういう「よいものをつくっているのに売れない」「思いがあるのに伝わらない」という状況に接していく中で、私はブランディングデザインの必要性を痛感するようになったのです。
会社を立ち上げてしばらくは、Webサイト制作の依頼があればWebサイトをつくり、パンフレットの依頼があればパンフレットをつくる、というような制作物単位の仕事をしていました。
とにかく、来る日も来る日も制作物をつくりまくっていましたが、こうした制作物単位ではお客さんの悩みを根本的に解決できないのではないか、ということにある時期から気づくわけです。
もちろん、
「Webサイトをリニューアルしたことで売上が10倍になった」
「パンフレットを刷新して申し込みが増えた」
という嬉しい声をいただくこともありましたが、制作物単位の仕事では、短期的な集客や売上には効果があっても、長期的な資産となるような愛されるブランドをつくる、というところまでは辿りつかない、というジレンマがつねにありました。
経営者たちのつよくて純粋な「思い」や「メッセージ」をカタチにして、たくさんの人に共感されるコミュニケーションをつくりたい。
そこから豊かな体験が生まれてゆく未来につながる価値をデザインしていきたい。
私の中にそんなつよい「思い」が生まれて、いつしかそれが私の「ミッション」になりました。
そして、その思いを実現するために必要なのが、ブランディングデザインの視点でした。
このブログは、デザイン・カンパニーの経営者でありアートディレクターである私自身が、ブランディングについて学び、実践しながら、ユニークでチャーミングな無敵のプラチナブランドを目指すべく立ち上げました。
つまりこのブログは、私自身のブランディングデザインをめぐる冒険の物語です。
ところで、冒険には仲間がつきもの。
これからブランディングに取り組もうと考えている人や、
もう取り組んでいるけれど、なかなかうまくいかなくて迷子になっている人、
そもそもブランディングって何なの?それおいしいの?という人も、
一緒に考え、一緒に楽しみながら旅をしてみませんか。
まだ全然ゴールは見えないけれど、きっと素晴らしい未来が待っているはず。