色は語るブランド哲学 | トレンドカラーとブランディング デザイン

ブランディングデザインにおいて、”色”が与える印象はとても大きく、特にファッションやインテリア用品などトレンド性の高いアイテムはトレンドカラーを意識することが大変重要です。

以前、あるデザインセミナーの講師をやった時に、受講生から
「色のセンスを磨くにはどうしたらよいですか?」
という質問を受けたことがあります。

「意識して色に接していれば、色感は磨かれますよ」
そう答えました。

色使い(配色)の感覚はセンスだよね、と思われているかもしれませんが、実はそんなことはありません。
デザイナーでも、色使いがうまい(得意)、下手(苦手)があったりします。

たしかに生まれついての素養もあるとは思いますが、生まれつきセンスがあってもそれを使う機会がまったくなかったり、普段から色に無頓着で過ごしている人よりも、毎日仕事でいやおうなく色に関わっている人や、日々繊細に意識的に色に接している人の方が、きっと色に対する感性は優れているはずです。

中学時代、キャベツの千切りで天賦の才を発揮し家庭科の先生に絶賛された私ですが、大人になった今、気が向いた時にしか料理をしない私と、毎日朝昼晩と何年もかかさず料理をつくり続けている専業主婦の同級生、今キャベツの千切りをしたら、その腕前の差は歴然、ということです。(たとえになってますかね?)

 

意識して街を歩いていると、さまざまなことに気がつきます。

コンビニで売られている商品のパッケージは赤が多いとか、オフィス街は人の服装や建物などモノトーンの印象がつよいとか、コーヒーショップの内装はやっぱり茶系が落ち着くな、とか。

また、ドリンクバーでストローを取る時、いつも赤のストライプではなく青のストライプを選んでいるなとか、人生ゲームの車の色はなぜかオレンジを選んでしまうとか、無意識に自分が選択している色に意識を向けてみるのはいかがですか。

普段の生活の中で、「この商品はなぜこの色使いなのだろう?」「このブランドのロゴカラーはどんな影響を与えているのだろう?」と考えることは、色感だけではなくマーケティング脳を鍛えることにもなり、クリエイターのみならず経営者にも良いトレーニングになります。

 

ところで、この世界にはたくさんの色が氾濫しています。

この世に存在している色の数は、web上で表現できる色で、目では判別できない物も含めると、約1677万色と言われています。

人間が見える色は、条件が整っていれば750万色、普段の状態だと、187万5000色識別できるそうです。(参照:「”よい色”の科学―なぜ、その色に決めたのか」)

しかし、色を言葉に表して伝えることと安定して同じ色を作り出すことを考慮すると、普段使っている色数はせいぜい2000〜3000程度だそうで、洋服や広告、インテリアに使われる色の数は実際に見える色よりはずっと少ない色数で設定されます。

色を取り扱うファッション・印刷・塗料・住宅などの各業界で作られている色見本帳でも1万色程度で、さらに、私たちが普段よく使う色はせいぜい11~30色程度だと言われています。

これらが色の基準となっているわけですが、世界の各言語で共通している基本となる色の分類は、11語しかないそうです。

それにしても、16770000分の11

世界はこんなにも豊かなのに、人間はなんて制限のある生き物なのでしょう。

これからの人生でできるだけたくさんの色に出会いたいものです。

 

トレンドカラーとブランディングデザイン

 

ブランドカラーは何色がいい?

いろんなブランドを眺めていると、モチーフも大切だけど、やっぱり色の印象というのは大きいなと思います。

快活なのか、冷静なのか、情熱的なのか、そういう言葉が色によって表現されています。

ブランドロゴは、図形やシンボルマーク、数字、単語などさまざまなビジュアル要素から成り立っていますが、人が認識しているもっとも大きなデザイン要素は色だと言われています。

実際に、色によってブランド認知力が80%アップすることも調査によって分かっています。

それぞれの色が人間に与える印象や心理効果について、実際のロゴを例に詳しく見ていきましょう。

 

赤色
マクドナルド、トヨタ、ユニクロ、コカ・コーラ、Yahoo!、楽天、日清食品など

赤色が表すイメージ:情熱、興奮、気力、挑戦、元気、明るい、力強い、生命、エネルギッシュ

女性向け商品やお祝いの品、エネルギーを表す商品や元気なイメージの企業が多いですね。

バーゲンセールの広告などによく使用されていますが、バーゲンセールのポスターやタグに赤を入れるかどうかで、「売上が20%変わる」とも言われています。

日本企業のロゴでは一番使用されることの多い色ですが、欧米では警戒色になります。

 

青色
みずほ銀行、ローソン、ANA、アサヒビール、サントリー、フェイスブック、Twitterなど

青色が表すイメージ:知的、クール、かっこいい、ストイック、品がある、清らか、信頼感、誠実、公平

爽やかさやクリーンさ、安心感のある落ち着いたイメージを与えることから、世界的にロゴとして使われることが一番多い色です。なお、統計によると、青は日本人の一番好きな色だそうです。

ちなみに、青はビジネスでよく使われているイメージで、会社サイトをつくる際に、自社のブランドイメージを考えることなく「やっぱり青だよね」と安易に発注してくる会社が実はとても多かったりしますが、青色のもつ感情的な色の意味合いとして、実は悲しさや憂うつさにもつながるので、使用には注意が必要です。

 

緑色
スターバックス、ニトリ、JR、サイバーエージェント、モスバーガー、LINEなど

緑色が表すイメージ:自然、癒やし、健康、平和、安全、爽やか、成長、再生、新鮮、若さ、エコ、環境に優しい

中間色なので、どの色ともバランスよく調和することができます。調和といえば緑ですね。安心感や安らぎを与えてくれる癒やしの色でもあ、エコに取り組む企業やリラクゼーション系など、消費者に安らいだイメージを与えたい場合によく使用されます。

また、同じ緑であっても明るい色合いの緑であれば、フレッシュで若々しいイメージで、深みのある緑であれば、伝統のある落ち着いたイメージというように、同じ色でも受け取る印象は大きく違ってきたりします。

 

オレンジ
au、BEAMS、バンダイナムコ、HERMES、クックパッドなど

オレンジが表すイメージ:新鮮さ、若さ、クリエイティブ、冒険心

親しみやすいイメージがあり、人の心を開かせ、コミュニケーションを活発にしてくれる効果があると言われています。そのため、エンタメ系やキャリア系など、人との繋がりを重視したサービスを提供する企業に使われることが多い印象です。

 

黄色
LOFT、マツモトキヨシ、クロネコヤマト、Nikkon、イエローハットなど

黄色が表すイメージ:楽天主義、快活さ、陽気さ、幸せ

明るく、希望のあるイメージがあることから、活動的なイメージを持たせたい時によく使用されます。
また、視覚に訴える力の強い色で、周囲の明るさに関係なく認識できるため、「危険を知らせる色」としても知られており、道路標識や工事現場、踏切などで使用されていますね。

 

紫色
イオン、YAMAHA、ワコール、ANNA SUI、BenQ、peachなど

紫色が表すイメージ:王位、威厳、精神的、ミステリアス

女性向けの化粧品やファッション、デザイン、音楽、演劇などの芸術系分野の企業で採用されることが多いです。日本では古くから、身分の高い人間が身につける色とされており、その影響から「高貴」「上品」なイメージがあります。

また、潜在能力を引き出す色でもあるので、精神を集中したいときにおすすめです。

 

ピンク
ゼクシィ、DAISO、Popteen、ANAP、Poiboy、ももいろクローバーZなど

ピンクが表すイメージ:女性らしさ、センチメンタル、ロマンチック、わくわく感

一般的には女性向けの商品やサービスによく使用されています。あわいピンクはやさしいイメージで安心感を与えますが、ビビッドなピンクは、アダルトなイメージや下品なイメージを与えてしまうので注意が必要です。

また、心と体を若返らせる効果があるそうです。

 

黒色
SONY、NIKE、DeNA、PRADA、CHANEL、ディズニー、SEIKO、日立など

黒色が表すイメージ:女性らしさ、センチメンタル、ロマンチック、わくわく感

威厳や重厚さを感じさせるので、落ち着いたイメージや高級感を出したい企業に人気です。日本では、死や闇などのマイナスイメージがあるので、避けたがる人も多い印象です。

 

グレー
Apple、電通、ソフトバンク、KOKUYO、ウィキペディア、SWAROVSKIなど

グレーが表すイメージ:クール、お洒落、都会的、洗練されている、信頼感、知的、大人

白と黒の中間色で、無彩色に分類されます。柔軟性が高くどんな色にも馴染むため、とても使いやすい色といえます。上品で落ち着いたイメージがあるため、教育系や士業系の企業、または自動車や時計などの高額商品のロゴに採用されやすい傾向にあります。

 

マルチカラー
Google、チームラボ、Schoo WEB-campus、オリンピックマークなど

マルチカラーが表すイメージ:多様性、バラエティー、ユニーク

複数の色使いは、人や国などの多様性(ダイバーシティ)や異なる個性の集合を表現したい時によく使われます。多様性を認め、様々な価値観に基づいて考える21世紀らしいコンセプトといえます。

 

多くの研究によって、人が商品を判断する時の90%近くが色によるものであることが分かってきています。

色はユーザーにとって、ブランドの個性がどのように見えるかを決定する最大要素ですので、ブランディングデザインにおいて色の力の活用は必須と言えます。

それでは、実際にブランドカラーを考える時に参考となるサイトをご紹介します。

BrandColors

BrandColors

BrandColorsは、企業やWebサービスなど1800以上のブランドカラーをまとめたサイトです。

各ブランドカラーの16進数カラーコードを簡単に検索・確認・コピーすることができ、気になるブランド名を複数選択して、配色のアセットをまとめてダウンロードすることも可能です。

 

2018-2019年秋冬トレンドカラー

さて、遅ればせながら今年の秋冬の流行色について。

色見本帳の作成で世界的に有名なPANTONEから出た2018-2019年秋冬の流行色です。

PANTONE

2018-2019年秋冬の流行色

<出典:PANTONE:NY Fashion Week Fall/Winter 2018>

 

秋冬のカラーとしては珍しいCrocus PetalやLimelightのような色が入るなど、従来の秋冬トレンドカラーに比べると全体的に明るい色が選ばれているようです。

PANTONE社は、通常の季節的なトレンドサイクルから離脱し、自身の表現やクリエイティビティを求める時代の流れから、このような色がトレンドカラーとして現れたと発表しています。

とくに今年の注目色は「ウルトラ・バイオレット」
日本でいう「すみれ色」です。

なかなかドラマチックな色合いで、独創性や創意工夫、先見性のあるカラーとして選ばれたようですが、そんなことより、「ウルトラ」ですよ。

色の名前に「ウルトラ」が入るなんて、斬新すぎる。。

今度、何かの提案で、ぜひ使ってみようと思いました。

「これはただの赤ではありません。”ウルトラ・レッド” です」(笑)

それはさておき、こうしたトレンドカラーがどのように市場に反映されているのか観察してみるのもブランディングデザインを考える際におおいに活きてくるので、おススメします。

 

★こちらの記事もどうぞ