ブランディング デザイン 6つのステップ〈パーソナル編〉STEP1

「ブランディングをしたいけど、何からはじめたらいいの?」
「そもそもブランドってどうやってつくるの?」
「ブランディングデザインって自分でもできるの?」

このような質問をよくいただきます。

そうでしょう。そうだと思います。私もそうでした。

ブランディングの必要性が叫ばれ、大手企業をはじめさまざまな取り組みが話題になる現在でも、

「ロゴやシンボルマークがブランドイメージをつくるんだよね」
「ブランドは広告によってつくられるんじゃないの」
「ブランド=高級品のことだよね」

というような誤解がまだまだあるようです。

また、「かっこいいWebサイトをつくればOK」とか
「商品パッケージのデザインをよくすれば売れるだろう」というような、
ある要素の体裁を整えることがブランディングだと思っている人もいたりします。

ブランディングについてはさまざまな定義があり、マーケティングやデザイン戦略など専門性の高い内容含め取り組むテーマが多岐にわたるため、なかなかわかりにくいものかもしれません。

このブログで私がお伝えしていることも、たくさんある定義やメソッドのひとつであって、これが絶対ではなく、正解でもありません。

ブランディングはオーダーメイドだと私は思っていて、100のブランドがあれば100通りのアプローチがあるので、正解はひとつではないからです。

なので、あなたにはあなたがしっくりくる方法を見つけてほしいと思っています。

ここでは、私がアートディレクターとして多くの案件を手がける中で、また自分自身が経営者として経験してきた中で得たものや考えたことをお伝えしていければと思っています。

とはいえ、ブランディングの本質はとってもシンプル。

ブランディングとは、ファンをつくること。
そしてファンを増やすこと。

それにつきるのではないかと思うのです。

 

さて、今回は、パーソナルブランディングにおける具体的なブランディングデザインの方法についてお伝えしようと思います。

「パーソナルブランディングって何?」という方は、こちらの記事をお読みください。

>ブランディング デザイン をはじめよう

ブランディングと一言でいっても、その人がどのボジションにいるかによってアプローチは異なります。

ついこの間起業したばかりの人と創業100年の老舗の三代目では、そもそもの出発点が違いますので、ブランディングの方向性も違えば、設計の難易度も異なります。

先ほど書いたように、ブランディングはオーダーメイドなのでマニュアルはないのですが、パーソナルブランディングにおいては、ベースとなる方法論がありますので、今回はそれをお伝えしてみようと思います。

とくにこれからビジネスをはじめるスタートアップの個人事業主(フリーランス)向けの内容になりますが、すでに事業をはじめてはいるけれど、迷子になっている方や途方に暮れている方にもヒントになることもあるかもしれません。

興味がありましたらぜひ試していただければと思います。

できるだけシンプルにコンパクトにお伝えしたいと思いますが、ひとつひとつのSTEPについて実践レベルで書いていくと、やはりどうしても長くなってしまうので、STEPごとに分けてお伝えするのがよいかなと考えました。

というわけで、今回は、STEP1、はじめの一歩です。

 

 

STEP1:自分を知る

あなたが自分のブランドをつくりたいと考えた時、まず最初に取り掛かることは、あなたの「らしさ」を可視化することです。

あなた「らしさ」は可視化されることによってはじめて認識され、認識されることでお客さんとのコミュニケーション可能なものになります。

あなたの本質は何か、あなたがほかの人とどう違うのか、それがわからなければ、あなたは自分の魅力を正しく伝えることもできないし、お客さんがあなたを選ぶこともできないわけです。

というわけで、何をおいてもまずは “自分を知ること”。そこから始まります。

あなたは自分のことをどれくらい知っていますか?

会社や肩書き以外で自分を説明することができますか?

 

人は案外自分のことを知らないものです。

かくいう私もそうです。
いい歳をしていまだに自分のことが時々よくわからず、手を焼いたりしています。

もしかしたらこれまでの人生であまり自分と向き合ってこなかったという人にとっては、このSTEPはかなり骨の折れる作業かもしれません。

あるいは、「こんなことがブランディングにつながるのか?」と疑問に思う人もいるかもしれません。

しかし、「あなたらしさ」(つよみ・価値)が明確にならない限り、たとえよい商品やサービスのアイデアがあったとしても、正しく人に伝えることはできません。

もしあなたが自分の本質を無視して、見せたいイメージ、見られたいイメージを演出したとしても、そこには必ず違和感が生まれます。

なぜなら、あなたの本質と違うことをするのは、あなた自身の自覚があるなしに関わらず、どこかで無理をしているということなので、その “無理” が違和感として表出します。

それが些細なものだとしても、人間はそうした違和感を肌で感じ取るので、必ず相手に伝わります。

たとえ違和感の正体が何であるかわからなくても、「何かわからないけどイヤな(嘘くさい、薄っぺらい)感じ」「言葉では説明できないけれど、何かが違う」と、直感的に捉え、ジャッジします。

そして、人は違和感があるものを選ぶことはありません。

また、あなたの「本質」と「演出したイメージ」に乖離があればあるほどボロが出やすくなるので、演出はほどほどに、です。

人間の五感とブランディングとの関りについては私に取っても興味深いテーマなのですが、ちょっと長くなるので、またあらためてお話しできればと思います。

それはそうと、面倒臭いからといって、いきなりブランドコンセプトをつくったり、ロゴマークをデザインするということはしないでくださいね。

きっとどこかで聞いたことのあるコンセプトや、見たことのあるロゴマークになってしまうと思うので。

では、気合を入れて、さっそくはじめましょう。

 

STEP1:自分を知る

 

1-1.  自分のつよみ、才能を洗い出す

紙とペンを用意して、まずは、あなたが自分の「つよみ」「才能」だと思っていることを書き出してみましょう。

「自分は特別な才能なんてないよ」
「ごくごく普通の人間だから、自慢できるようなつよみなんて思いつかない」
という人もいるかもしれません。

「つよみ」「才能」で思い浮かばない場合は、「自分のよいところ」というふうに考えてみましょう。

「よいところ」は誰にでもあります。すべからくあります。断言できます。

もしわからないというのであれば、それはただ気づいていないだけです。
まずは、気づくことが、はじめの一歩です。

「自分のよいところなんて何もでてこないよ」という人は、家族や友達に「私のよいところを教えて」と聞いてみてください。

案外、自分ではまるで価値を感じていないところや、いたって普通だと思っていたところに人は魅力を感じていたりします。

書き出す数についてはあまり気にしなくてもよいですが、20〜30個くらいあると傾向が見えてくるので、その辺りを目安にするとよいかもしれません。
もちろん、書けるのであれば100個でも200個でもOK。

 

これまでの人生を棚卸しして、

・あなたが思う自分のよいところ
・身につけてきたことや自慢できること
・自分の特徴だと思うこと
・外見、内面、スキル、性格
・他の人と比べて得意なこと
・詳しい知識のある分野

などについて、思いつく限り書き出してみましょう。

また、

・あなたが人生でもっとも情熱をもって取り組んだこと
・子供の頃やっていて楽しかったこと、ハマったこと
・大人になってからやっていて楽しかったこと、ハマったこと

などについてもじゃんじゃん書き出してみてください。

特別なものでなくてもよいです。

過去にたった一度だけ褒められたようなことでも、誰にも褒められたことがないけれど自分では気に入っている、というものでも。どんな些細なことでも全然OKです。

このワークを徹底的に行うことによって、最終的なアウトプットの質が変わってくるので、ぜひ楽しみながら取り組んでみてください。面白い発見があるかもしれません。

 

1-2.  パーソナル・アイデンティティを規定する

1-1で書き出した「つよみ」「才能」「よいところ」の中から、自分の好きなキーワードを3つ洗い出してみましょう。

そして、そのキーワードを使って、自分を表現する文章=パーソナル・アイデンティティを作成します。

パーソナル・アイデンティティとは、あなたのブランドの「人格」となるものです。

たとえば、同じ商品をやサービスを展開する2人がいるとします。

Aさんはパーソナリティを「まじめで繊細」と規定し、Bさんは「自由でユニーク」と規定したとすると、この2つの商品のアウトプット(デザインや広告など)はきっとずいぶん異なったものとなるでしょう。

ちなみにこのSTEPで作成するものは、ブランドコンセプトではありません。

ブランドコンセプトの規定は、この後のステップで行いますが、まずは、あなたが商品やサービスを提供していく時、「どこに独自性(つよみ)をもたせるか」を考えます。

それがパーソナル・アイデンティティです。

この作業で難しいのは、たくさん書き出した「つよみ」「才能」「よいところ」からたった3つだけを選ぶことではないかなと思います。

「あんなに苦労して捻り出したり絞り出したりしたたくさんの ”よいところ” を捨てるのか」「せっかく書き出したのにもったいないじゃないか」と思うかもしれません。

しかし、もったいないからといって、ここで書き出したポイントをそのまま全部持ち込んでしまうのはやめましょう。

あれもこれもとなる気持ちはわかりますが、伝えたいことが多いと発信するメッセージがブレてしまいます

すでに多くのファンができてからであれば、そういうアプローチが効果的な場合もありますが、まだ誰もあなたのことを知らない段階ではマイナスにしかなりません。

惜しくも選ばれなかったその他盛りだくさんのあなたの「よいところ」も、この後必ず役に立ってきますので、ご安心を。

 

パーソナル・アイデンティティを作成するコツですが、「自分のキャッチコピーをつくる」と考えるとイメージしやすいかもしれません。

自分は、「こんなタイプ」で「こんなことができる」「こんなところが優れている(得意だ)」という点について短い言葉で表現します。

フォーマットとしては、
「私は、○○(タイプ)で、○○ができて、○○が優れている○○です」
というような感じでしょうか。

その際、お客さんの価値につながるポイントにフォーカスすることが重要です。

自分のビジネスにおいて、“何が価値であるか” という点にフォーカスしてください。

この時も、他者と比較する必要はありません。自分のつよみをひたすら見つめます。

 

いくつか具体的な例をだしますね。

たとえば、

「私は、人の本質を一瞬で掴み、その人にぴったりなキャッチコピーやニックネームをつくることが得意なライターです」

「私は、最先端技術に詳しく、ひと味違うエッジのきいたデザインが得意なWebデザイナーです」

こんな感じで、自分のつよみや得意なことを職業に結びつけます。

これといった仕事はしていないよ、という人であれば、こんな感じ↓で。

「私は、ママ友同士のコミュニケーションをつくるのが得意で、人をつなげるのが大好きな主婦です」

「私は、三度の飯よりゲームが好きで、ゲームについて語りだしたら止まりません。○○ゲームにおいては、地元でナンバーワンだと自負しています」

 

ここで大事なのは、自分自身で納得して自信をもって自分独自のつよみを導き出すことです。

あなたがターゲットとするお客さんにあなたの価値を提供していくために、まずあなたがあなた自身の価値を知ること。そこに自信をもつこと。それがこのステップの目的です。

このワークが完了した時、あなたは自分がどんな人間かを自分で把握し、人にも説明することができるはずです。

ちなみに、パーソナル・アイデンティティはあなたの成長とともに変化していくものなので、その都度見直し、バージョンアップさせていくことをおすすめします。

 

最後に

ブランディングデザインとは、伝えたいメッセージを正しく伝えるために、商品そのものやパッケージ、広告やWebサイト、店舗の空間デザインなど、企業が発信するあらゆるアウトプットをデザインし、見え方をコントロールすることですが、実際はそれ以前に「伝えるべきことは何か」を明確にする必要があります。

そのために必要なのが、今回のワーク、あなたの「らしさ」を可視化することです。

STEP1としていますが、本来このフェーズは、STEP0(ゼロ)、基本の「キ」といえ、ブランディングデザインのフレームワークからは外れているかもしれません。

なのですが、今回はパーソナル ブランディングをテーマにしており、ビジネスのスタートアップの段階において必要な人も多いかと思い、あえてこのフェーズを最初に取り組む課題として取り上げました。

実際のところ、このSTEPは、5つのSTEPの中でも一番やっかいかもしれません。
けれどもすべてのコアとなるフェーズなので、時間をかけてじっくり取り組んでいただければと思います。

 

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