ブランディング デザイン 6つのステップ STEP3 | ポジションを見つける

さて、STEP2のワークはいかがでしたか?

このカテゴリでは、パーソナルブランディングの手法をSTEPに沿って解説しています。

ブランディングデザインがテーマにもかかわらず、「マーケティング的なワークばかりでどうなんだ?」「いつになったらデザインの話がでてくるんだ?」と思っている方もいるかもしれません。

けれども、STEP1は人間でいうところの骨にあたる部分、STEP2はいわば筋肉で、つまり、いずれも人体を支える重要なパーツになります。

骨が歪んでいたり、正しい位置になかったりすると、体に不調をきたすように、ビジネスにおいても経営戦略のブレは、のちのち大きな影響を及ぼす可能性があります。

丈夫な骨としなやかな筋肉をつくりたい人は、ぜひ取り組んでみていただければと思います。

>ブランディング デザイン 6つのステップ〈パーソナル編〉STEP1
>ブランディング デザイン 6つのステップ〈パーソナル編〉STEP2

大切なのは、ひとつひとつのステップをていねいに踏んでいくことです。たぶん何事もそうであるように。

それでは、ここからSTEP3です。

 

 

STEP3:ポジションを見つける

さて、このSTEPでは、ポジショニングについて考えていきます。

実はこのフェーズ、本当はSTEP2に入れる予定でしたが、STEP2が思いのほか長くなってしまったので、急遽切り分けることにしました。

内容に関連性があり、流れで考えていたのですが、確かにSTEP2のワークだけでもやること盛りだくさんなので、切り分けて正解といえば正解かもしれません。

とはいえ、おかげでひとつSTEPが増えてしまったので、急遽これまでの記事のタイトルを「5つのSTEP」から「6つのSTEP」に変更しました(笑)。

もしかしたら、この後も増えるかもしれません。
STEPを踏むごとにSTEPが増えていく。。ホラーです。

 

3-1. ボジショニングとは

ブランディングにおいて大切なのは、あなたの商品やサービスが “誰にとって” “どのような役割を持つか” を明確にすることですが、この “誰にとって” がターゲティングであり、 “どのような役割を持つか” がポジショニングです。

ポジショニングは「差別化」と思われがちですが、ポジショニングの本来の目的は、競合ブランドと比較して優位に立つことではなく、消費者から見て “替えのきかない” 独自の役割を持った存在になることです。

つまり、ポジショニングとは、ターゲットとするお客さんに対して、自分の商品やサービスについて独自のポジションを築くための活動のことであり、自分のブランドのユニークな価値を認めてもらうことで競合に対して優位に立つことを目的としています。

とはいうものの、実際の現場では「ポジショニング戦略」=「競合ブランドとの差別化戦略」として認識されているようで、ネット上で見る情報も、その文脈で書かれたものが多い印象です。

「Thik different」の記事でも書きましたが、他者(他社)との比較のみに陥るのではなく、誰とも違う個性(独自性)を追求していくことがブランディングにおいては何より大切で、それが価値をつくるのだと私は考えています。

>Thik different

差別化はもちろん重要な要素ではありますが、他者(他社)と比較した上で優位性を築くことが前提であると、「とにかく機能や性能を向上させよう」「価格をどんどん下げよう」といった、つねに競合との競争ルールが基準の思考パターンに陥ってしまいがちです。

そしてそれは、消費者を置いてきぼりにした消耗戦でしかありません。

また、差別化にフォーカスするあまり、本来のパーソナリティからズレた方向にブランド戦略の主軸をおいてしまい、自分に合わない施策を続けてうまくいかないケースもよく見掛けます。

繰り返しになりますが、ブランディングの目的は、競合ブランドと比較して優位に立つことではなく、お客さんにとって「替えのきかない」独自の存在になることです。

つまり、そもそも “比較しないで選んでもらう” ためのものなのです。

なので、他者(他社)との比較のみのポジショニングにとらわれるのは、本末転倒だと思うわけです。

このブログのテーマも、“ユニークでチャーミングな「プラチナ・ブランド」をつくる” ことなので、「ライバルに勝つ」という目的ではなく、戦わずして勝つために「替えのきかない」オンリーワンの存在となる方法を考えていきたいなと思っています。

 

3-2. ボジショニングマップ

ボジショニングを考える際に、よく使われるのがポジショニングマップです。

ポジショニングマップとは、自社ブランドの位置づけを2つの軸を用いて視覚化するマーケティングツールです。

ポジショニングマップ

これは一般的によく使われるポジショニングマップですが、このマップは、単に「競合ブランドとの違い」を2つの軸で視覚化しているに過ぎません。

ブランディングにおいて最も大切なのは、「競合ブランドとどう違うのか?」という「自分側の視点」ではなく、「どのような価値を提供してくれるのか」という「顧客視点」です。

3-1で解説したように、「競合ブランドとの差別化」にフォーカスしていると、どうしても消費者の感情が置いてけぼりにされがちです。

ポジショニングの軸を取る際には、何をおいてもまずはこの「顧客視点」を意識してください。

 

ここでひとつ、ポジショニングマップの事例を出します。

カフェ業界のポジショニングマップ

カフェチェーン業界において、スターバックスは「ちょっとおしゃれでくつろぎのあるカフェ」という価値で独自のポジショニングを築いています。

家でも職場でもない、第3の居場所「サードプレイス」の提供をコンセプトにしており、おしゃれな内装やフレンドリーなスタッフが印象的で、接客好感度では飲食店部門でトップです。

一方、「都会のオアシス」がコンセプトの銀座ルノアールは、まさサラリーマンのオアシス。

世の中のおじさんが遠慮なく顔を拭くことのできる大きめおしぼりとコーヒーを飲み終えた頃にさりげなく提供される温かいお茶にホスピタリティを感じます。

そして、ドトールといえば、駅前の便利な場所にあり、仕事や買い物の合間にちょっと休憩をするカフェ、といった印象ですかね。

このようにそれぞれのカフェは、ブランドの提供価値が異なり、結果として客層も男性サラリーマンが多かったり、女性や学生が多いなど異なってきます。

ポジショニングという視点で見た時、それぞれが別のポジションのブランドであることがわかります。

 

余談ですが、カフェといえば、私の心のオアシスNo.1は、「談話室滝沢」です。

もはや覚えている人も少ないかもしれませんが、今でも新宿で待ち合わせをする時、「滝沢があったらなあ」と思うことがあります。

「談話室滝沢のウェイトレスはみんな未亡人」と某出版社のベテラン編集者が言っていましたが、その冗談を鵜呑みにしてしまうほど談話室滝沢には情緒がありました。

ちなみに、ウェイトレスはアルバイトではなくすべて正社員で、しかも全寮制で徹底した接客研修や教育を行っていたそう。

これもユニークなポジショニングです。復活を切に願います。

 

さて、余談が過ぎましたが、事例をもうひとつ。

牛丼業界のポジショニングマップ

吉野家を含めた従来の牛丼業界のターゲットは、働く男性を中心とした一人客。
「早く」「安く」をモットーに胃袋を満たすイメージですね。

その中で、すき家は「ファミリー層」や「女性客」へのターゲティングを拡げる戦略をとり、「楽しい食卓を家庭の外で気軽に実現」という差別化でポジショニングをしました。

すき家は「できたての食事を楽しく食べたいファミリー・女性」をターゲットとし、ターゲットの頭の中に「マクドナルド」や「ファミレス」と並ぶ選択肢として「すき家」をイメージさせることに成功しました。

すき家のTVCMはそのコンセプトをわかりやすく表現しています。

 

カフェ

 

3-3. ボジショニングを設定する

それでは、あなたのブランドのポジショニング戦略を考えてみましょう。

WORKS
自分のブランドのポジショニングマップをつくる。

 

効果的なポジショニングマップをつくる4つのポイント

1. 独立性の高い2軸を設定する

ポジショニングマップの2つの軸はそれぞれが独立しており、かつ、相関性が低いもの同士で設定することがポイントです。

「価格」と「高級感」は比例する(高級感があれば価格は高くなる)、つまり相関性が高いので、軸に設定すると有効なマッピングがしにくくなります。

 

2. 購買決定要因を重視する

購買決定要因とは、商品やサービスに含まれる価値の中で、お客さんが購買を決める際に重視する要素を指します。
たとえば、「価格が安いから買う」「デザインが好みだから買う」といったものですね。

購買決定要因が複数存在する場合、特に重要な2つの要因を軸に定めます。

 

3. 空いているポジションを狙う

ポジショニングマップを作成する際、隙間の空いているところに自社の商品・サービスを位置づけます。
そこが競合がとりにくいポジションである場合、自社の優位性を確立しやすくなります。
ただし、安易に空いているポジションをとるだけでは意味がないので、これまでの内容を踏まえて検討してください。

 

4. 将来的にも優位性を構築できるポジショニングをとる

時代の移り変わりや世間の関心に左右されず、将来にわたって優位性を保てる2軸を選び、出来る限り長い期間にわたって優位性を築けるようなポジショニングをとります。

ポジショニングを設定するには、どのような切り口でポジショニングの軸を決めるのか、その選択基準がとても重要となります。

 

効果的なポジショニングマップをつくるポイントのひとつ「ポジショニング軸の決め方」について、さらに詳しく解説していきます。

ポジショニング軸の決め方

●ブランドの属性に基づくポジショニング

属性とは、商品の特性やスペック、価格と品質の組み合わせなどブランドが持っている性質や特徴のことです。

例)特定の属性
マクドナルド=「低価格」
モスバーガー=「材料の品質や高級感」

 

●ブランドの提供価値に基づくポジショニング

消費者が感じるメリットを軸にポジショニングをします。
ブランドのベネフィットでもあり、感覚的、感情的な要素が強い傾向があります。

ブランドの提供価値については、STEP2で解説しています。
>ブランディング デザイン 6つのステップ〈パーソナル編〉STEP2

例)
DELLのパソコン=「自分流にカスタマイズできる」
パナソニックのLet’s note=「出張など持ち運びに便利」
アップル社のMac=「デザイン性が高い」

 

●ブランドの利用シーンに基づくポジショニング

その商品やサービスをある特定の用途に絞り込んで軸を取り、ポジショニングをします。

たとえば、全てのバックオフィスプロセスを管理するERPとしてではなく、人事・給与分野という特定用途に特化したワークスアプリケーション。

家庭用インスタントコーヒーの中でも、ギフト用に特化した「コーヒーギフトはAGF♪」でお馴染みのAGFなど。

 

●ブランドパーソナリティに基づくポジショニング

そのブランドならではの個性や独自性からポジショニングの軸を考えます。

たとえば、「多機能・高品質」を追求した国産スマートフォンと、「革新性・デザイン性」で唯一無二のポジションを築いたアップルのiPhone。

同じような機能が並び、価格で選ばれるコモディティ化が生じていた日本の家電市場において、「吸引力」という新しいポジションを生み出したダイソンなど。

 

●ブランドのターゲットに基づくポジショニング

商品・サービスを購入する対象が誰かを軸にしたポジショニングです。

ブランドのターゲットについては、STEP2で解説しましています。
>ブランディング デザイン 6つのステップ〈パーソナル編〉STEP2

たとえば、個人ユーザー向け商品であるソニーのPlayStationに対して、ターゲット顧客を「家族向け」にすることで成功した任天堂Wii。

子供のおやつ用とされていたアイスクリームに、「大人の贅沢用」という役割を持ち込み、プレミアムアイスクリームブランドとしてポジショニングを築いたハーゲンダッツなど。

 

軸を決める視点は無数にあり、これが正解というものはないので、あなたのブランドが独自のポジショニングを実現するためにどの切り口が有効なのか十分に検討してください。

ブランドポジショニングは、市場におけるブランドの価値や立場などを決める重要なフェーズですが、なかなか難しい作業といえます。

 

アイスクリーム

 

ポジショニング事例

参考までに、ポジショニングの重要性がわかる事例をご紹介しますね。

事例:ポジショニングを変えることによって売上が8倍となったシーブリーズ

資生堂が展開する「シーブリーズ」というボディケア・ブランドがあります。

海に行ってシャワーを浴びたあとなどに使用して、ひんやりするデオドラントが主軸の商品ですね。

このシーブリーズが数年前、マーケティング戦略を大幅に変更しました。

それまでのシーブリーズのターゲットは20代〜30代の男性でしたが、年々海に行く人口が減少し、ブランドも高齢化して、時代遅れのブランドという印象が強くなっていました。

そこで資生堂は完全なリ・ポジショニングに乗り出しました。

ターゲットをティーンエージャーに設定し、これまでの「海」や「夏」といったイメージから、日常シーンでの使用に訴求ポイントをもっていき、街にいる女子高生をターゲットに変えたのです。

こうした目論見が成功し、シーブリーズの売上は低迷期の8倍にも達しました。

事例:エナジードリンクの常識を変えたレッドブル

仕事に家事にプライベートに忙しい現代人であれば一度はお世話になったこともあるであろうレッドブル。
「翼をさずける」のTVCMでお馴染みですね。

レッドブルが日本に参入したのは2005年ですが、レッドブルが登場するまでのエナジードリンクといえば、「おじさんや疲れたサラリーマンが飲むもの」というイメージがありました。

しかし今では、リポビタンDなどほかのエネジードリンクに比べて高価にもかかわらず、若者から指名買いされるブランドに成長しています。

レッドブルのブランドコンセプトは、「冒険者を称え、翼をさずける」です。

レッドブルのCMでは「タウリン○○○mg配合」「カフェインゼロ」など、エナジードリンクの特徴は一切出てきません。ただ「レッドブル、翼を授ける」というメッセージのみを印象的に伝えています。

レッドブルの創業者は「レッドブルは単なる飲料ではなくエキサイティングな体験であり、スリルや冒険である」と語っていますが、まさにそれを体現した商品といえます。

レッドブルの成功は、「冒険者に翼を授ける」という独自の役割=ブランドポジショニングを築き上げたことといえます。

 

ポジショニングの本質は「差別化」ではなく、「独自の価値化」だとお伝えしてきました。

ほかにはない独自の役割を明確にすること、そして、それにふさわしい “認識” をつくりあげることができてはじめて、強いブランドポジショニングは確立します。

“認識”とは、「高級アイスと言えばハーゲンダッツ」「デザイン性の高いパソコンといえばMac」など、「○○と言えば○○」と消費者が連想するイメージが確立されているものです。

このSTEPで目指すゴールは、たとえば、「この商品で○○なのはあなただけ」「この地域で○○なのはあなただけ」というように、オンリーワンのポジションを形成することです。

ブランドポジショニングは、ポジショニング軸の設定に試行錯誤を伴いますが、これがバチッと決まれば、ゴールに向けて迷いなく進むことができるはずです。

とはいえ、決定されたポジショニングは絶対不変のものではなく、将来的に商品・サービスに求められる要素が大きく変化する可能性もおおいにあります。

その場合は、これまでと同じポジションに固執することなく、時代の変化やあなた自身の成長に応じたポジショニングマップをつくり直すことも大切です。

 

さて、STEP2、3と、左脳を使うワークが中心でした。

筋金入りの感覚人間の私は、こうしたマーケティングのフレームワークの後は、いつも脳みそヘロヘロでしばらく使いものになりませんが、私と同じような右脳優位タイプの人にとっては、このワーク、なかなかハードかもしれません。

もし、あなたにビジネスパートナーや頼りになる仕事仲間がいれば、一緒にわいわい言いながらワークをするのをおすすめします。

何事も楽しくなければ続きません。

 

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