「ところで、“独自性” と “独創性” ってどう違う?」
先日、友人と話をしていた時、そんな疑問が話題になりました。
早速スマホで検索した友人が、「英語にすると、どちらも “originality” だから、同じ意味かもね」と言い、英語がべらぼうに苦手な私は、「へー同じなんだ」と納得し、その話はそこで終わったのですが、
大辞林によると
「独自性」・・・他と違い、それだけに特有の性質
「独創性」・・・独自の考えで物事をつくり出す能力。また、新しい物事がもつそのような性質
とあります。
パーソナルブランディングの「パーソナル」は「独自性」を指します。
その「独自性」を見つけることからパーソナルブランディングがはじまる。
でもって、ブランディング活動において必要となってくるのが、「独創性」。
独創性は、「独自性(originality)」+「創造性(creativity)」
つまり、「独自性」に「創造力」が掛け合わされた時、「独創性」が生まれるのかなと。
ちょっとこんがらがってきましたが、要するに、誰とも違うこと(「独自性」)が価値であり、真似のできないその価値をつくりだす能力が「独創性」ではないかと思うのです。
さて、今回は、そんな2つの「オリジナリティ」について。
「オリジナリティ」には、企業や個人の「存在意義」や「らしさ」を明確にし、「価値」を確立させる力があります。
ブランディングにおいて重要なファクターと言えます。
ある特定の消費者にとって、スマートフォンは「iPhone」と「それ以外」の2種類に分かれます。
電話をする、メールを送る、ネットにつながる、ゲームをする、音楽を聴く、という機能自体にはそれほど差はなくて、しかも価格がほかより高かったりするのに、それでも「それ以外」ではなく「iPhone」を購入する人が多いのなぜでしょう?
iPhone以外でもそうです。アップルの商品は決して安いわけではなく、ずば抜けて高スペックというわけでもありません。
それなのになぜアップル製品を選ぶ人が多いのでしょう?
「かっこいいから」「オシャレだから」「人に自慢できるから」など、理由はさまざまだと思いますが、要はアップルのオリジナリティが人々に共感され、心を動かしたからだといえます。
オリジナルコンセプトを持つ商品にはほかの商品からは決して得ることのできない満足感が得られるため、ユーザーはその満足度にお金を払うのです。
この満足度が付加価値です。
アップルには、絶対的なオリジナリティがあります。
それは先進性だったり、独創的なデザインだったり、遊び心のあるインターフェイスだったり、メーカーの理念だったり、ストアの雰囲気だったり、商品の梱包だったり。
そうしたものにユーザーは共感してファンになります。
アップルは商品のみならず、あらゆるアウトプットがかっこいいのですよ。
全方位ぬかりなく。
見え方がきちんとコントロールできていることにより、「美意識の高さ」「クリエイティブへのこだわり」がユーザーに伝わってくる。
かくいう私も20年来のMacヘヴィユーザーです。
Macのみならず、スマホもタブレットも一度たりとも浮気をしたことがありません。一途に純愛を貫いています。貞操を守っています。
これ、相手が人だったらだいぶキモいかもしれませんが、スゴイことだと思うのです。
もちろん私が、ではなくて、私をここまで惚れさせるアップルが、です。
ちょっと古い話になりますが、アップルの “Think different.” というキャンペーンがありました。
“Think different.” とは、発想を変える、違った考え方をする、という意味です。
アップルには突き抜けた独創性の高い製品をつくり出す力があり、そのブランド力について、ある著名なマーケッターの方がこう言っています。
「これだけはマーケティングではできない、クリエーター魂が成せる技だ」と。
アップルには、徹底した「クリエイティブへのこだわり」と「美意識の高さ」があります。
「ブランディングデザインをはじめよう」(http://tokitayukiideas.com/blog/branding-design/)の記事にも書きましたが、すごいブランドには必ず圧倒的な美意識があります。
それは「センス」というのとはちょっと違って、もっと深いコアにある決してゆるがない価値観のようなものです。
その美意識とこだわりが、誰も真似できない「独創性」につながるのだと思います。
いきなりアップルを目指すのは難しいかもしれませんが、“Think different.” は誰にでも出来ることではないでしょうか。
人とは違う考え方、今の自分とは違う発想からしか、たぶん新しいものは生まれない。
あえて自分の、あるいは業界の既成概念から外れてみることで、革新的な新しい価値観をつくりだすことができるのかもしれません。
商品やサービスを考える時、世の中の流れや時代を読んで「今はこういう時代だからコレが売れる」というのではなく、「世の中の流れを変えるものを創るにはどうしたらよいか」という視点で考えてみるのは大切なことのように思います。
「ブランディングとは差別化だ」という定義もありますが、それはある一面でしかないと私は考えます。
他者(他社)とは違う特徴、差別化できるポイントを探すことも大切ではありますが、他者(他社)との比較のみに陥るのではなく、ただ誰とも違う個性(独自性)を追求していくこと、その「独創性」が価値をつくり、その「価値」を伝えていくことがブランディングではないかと。
そしてそれはきっと “Think different.” から生まるのだと思うのです。